Album Cover ハイドアンドシーク

ハイドアンドシーク

キタニタツヤ

11

向こう岸のことやら

くだんないことばかり恐れて

ありもしない正しさの奴隷さちゃちな走光性

夏の夜の火に身を焦がして

音も立てずに散って逝く

あの羽虫のように終わりたいんだ

追えば追うほどに逃げてしまう

あの太陽へと近づいて

羽の溶ける音を聞く

丸々と肥えた自意識で

臆病な僕らが身を隠したって無駄

彼は天井から見ている

すぐに見つかってゲームは終いさ

逃げ切れなくなって僕ら

騙されていく

騙されていく

見せかけの太陽に皆

喰われちまって

壊れちまって

正しさはもうどこにもないんだ

どうして天の賜った言葉の導くままに歩めないのか?

為す術なく塔は落ちる

んで馬鹿はいつも悲劇を招く

分断され惑うばかり

孤独な僕らの怯えた眼

白く濁ってたんだ

燃えるピアノ

破られた絵画

四肢をなくした踊り子が喘いでいる

些細な悪意が群がって

蓮のように醜く爛れた国で

息を潜めて

逃げ切れなくなって僕ら

騙されていく

騙されていく

見せかけの太陽に皆

喰われちまって

壊れちまって

正しさはもうどこにもなくて

上手く隠れたはずなのに

足音がすぐそこに来ている

僕らの頭上にずっと

生温い視線が向いている

一人として逃げれやしないんだ

顔を上げて鬼と目が合って

慈しみの罰が下るまで

向こう岸のことやら

くだんないことばかり恐れて

孤立していく僕らは

何に縋って生きてゆくのだろう?